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2022​年 秋の短歌

我が心何かに飢ゑてこの夜の

      匂ひ哀しき秋深みゆく

   


思へども届かぬ思ひ知りつつも

     なほも流るる我が心なり



 

葉擦れの音絶え間なくして星の降る

     夜にひたすら佇みてをり


    清澄白山菊 

刻々に光と影の漂へる

     白山菊の花のおもてに


 

    四十雀

黃葉初むる枝垂れ桜の一枝に

     小さきものの囀りにけり



    閏長月十三夜

さらぬだに清けき光

  一瞬の雲間に見ゆる月のかげろひ



 

    唐楓

葉の上に秋生まれけり

  くれなゐは光と風の出会ひなりけむ




 

光あれビオラの夢の寡黙さよ

  地に這ひつつも咲きつづけをり

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