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​6月の短歌

我が魂のあくがれわたるここちして

    霧まどふ峰仰ぎつつ佇つ



 

ブルースターと呼ばれし花の色褪せて

    星のかたちに咲きつぎてゐて



 

大原二首

 

さびさびと青きもみじに埋もれいゐて

    庵の門の閉ざされしのち

 

夕光につつまれなほも仄暗く

    女院の墓はただ孤りあり




 

東林院二首

 

風揺らぐ古木は花を降らしけり

    昔を沙羅にしのぶよすがに

 

幾日も幾日も落花重ねつつ

    沙羅の古木はなほ咲きてあり




 

虚しさのきわまりにけり越し方の

    断ちにしことの多かりにせば

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