top of page

不可思議

砂時計が音もなく

落ちてゆく この日々のなかで

越し方の 時の重なり

失った日々 喪った人々

夜の底で私はどんどん沈んでゆく

 時がどこまでも続いてゆくと信じていた

 道がどこまでも続いてゆくと思っていた

いつか来ると信じていた

その時はついに来なかった

どこかにあると疑いもなく

歩き続けた道は消えてしまった

ひとり三叉路に立って

どちらに進むのか 戸惑い佇む

時々 私がどこにいるのか

わからなくなる

空っぽなのか 充たされているのか

幸せなのか 不幸せなのか

空にいる私 雲に乗る私

深海に沈んで 身動きもせずに

暗がりのなかで 漂っている私

見えないのは暗闇のせいなのか

​あるいは 光があまりにも明るすぎるゆえか

bottom of page