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​蝶

春先から初夏まで飛び続けている

紋白蝶の羽根が

夕鶴のつうのように

日に日に薄くなって

 

蝶は鱗粉を何に代えているのか

今は梅雨の雨に打たれて

弱々しく花のまにまに渡ってゆく

 

薄れてゆく 蝶のかたち

溶けてゆく 翅の輪郭

 

白い花と 見分けがつかないほど

花びらとなって花に停まる

 

季節の移ろいは

いのちのうつろい

 

けれど蝶には かなしみはなく

ただ 溢れる自然があるだけ

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